08 ◆  島産み国生み

 古事記、日本書紀の島産み国産みは世界一の地文学である。地球はイザナキミの命の現身であり、その現体(現身)である地殻を包む大海洋はイザナキミの命の腹部であり、その腹部である産腹から爆出した島々を産み出したと云う古典の伝えは決してお伽噺や架空の物語ではありません。否、島産みとしての表現こそ世界一の真理真実の地文学であります。この島産みの真義を十分に把握しておきませんと、真の神ながらの真義を理解することは出来ません。何故ならば島や陸地こそ人類発生の母体であり基盤でありまして、人間のみならず陸上生物は陸島の精気即ち「水穂之気(みずほのけ)」と、天の精気である「天津御魂(あまつみたま)」により産霊出されたからであります。のみならず陸地と云う舞台がなかったら陸上生物は棲息出来ません。その大生物である地球の産腹なる大海原から誕生した島々もまた大生物であることは道理であります。生物は生物から生れるのが定理であります。ゆえにその島の精神を国魂神と称します。その国魂には各々個性がありますから、従ってその国魂の神の現身である島々にも各々異った個性がありますので、草木から人間までその国魂の各々の影響を受けます。従って人間の場合にも郷土を異にすればその国魂によって郷土の気風が異なり、又食物でも味も香りも産地が変る毎に同一種類でありながらも風味に相違があります。また神話に伝えられる島々にはいずれも淡路の穂之狭別命とか、四国を阿波の愛比売とかの神名がありますのは、私どもの本体である魂の宿っている人間に氏名があるのと同様であります。B-165
 この島生み国生み件りは、吾が国が生命の本国として、地上生命の発原地である事を合理的に現わしている世界無比の古伝であるのです。島、国の発現の順序は新編古事記新講にあり、八洲国も記には淡路、伊豫、隠岐、筑紫、伊伎、津島、佐渡、大和とありて越、大洲、吉備を除きたれども、紀には淡路、大和、伊豫、筑紫、隠岐、越、大洲、吉備となりおりて、伊伎、津島、佐渡を除きあり。然し紀の一書四件中の国名をも加えて通算する時は、淡路6、伊豫6、筑紫6、大和(豊秋津島)6、隠岐6、佐度6、吉備5、越3にして、伊伎対島大洲は各2であるのみならず、大島は記に大八洲の内より洩れているけれども、又の名大多麻流別とあり、又紀に2ヶ所大八島に数えられておれば、この大多麻流別は越の国の別名とも見られるのである。




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